
※画像出典:朝日新聞デジタル
東京電力福島第一原子力発電所に溜るALPS処理水の海洋放出を正式決定した岸田政権。これを受けて、中国政府は「日本産の水産物の輸入を全面的に停止する」と発表しました。また、香港政府、マカオ政府、フィリピンの漁業者団体、マーシャル諸島、台湾の副総統まで相次いで日本政府に対して批判を展開、処理水の海洋放出を巡って国内外で波紋を広げています。
■中国、日本産水産物の輸入を全面停止…「処理水」放出への対抗措置
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230824-OYT1T50264/
読売新聞オンライン 2023/08/24 14:58
【北京=山下福太郎】中国税関当局は24日午後、日本産の水産物の輸入を全面的に停止すると発表した。同日、東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の放出が始まったことへの対抗措置となる。
■処理水放出受け、中国が日本の水産品を全面禁輸 抗議の談話発表も
https://www.asahi.com/articles/ASR8S4TRQR8SUHBI02J.html
朝日新聞デジタル 北京=林望2023年8月24日 15時03分
東京電力が24日に福島第一原発の処理水の海洋放出を始めたことを受け、中国の税関当局は同日から、日本を原産地とする水産物を全面禁輸すると発表した。一方、中国外務省は24日、「断固たる反対と強烈な批判」を示す報道官談話を発表した。
■中国の水産物禁輸「全く想定していなかった」野村農相 処理水巡り
https://mainichi.jp/articles/20230825/k00/00m/020/148000c
毎日新聞 2023/8/25 14:48(最終更新 8/25 22:34)
野村哲郎農相は25日の閣議後記者会見で、中国の税関当局が日本からの水産物の輸入を全面的に停止すると発表したことについて「大変驚いた。全く想定していなかった」と述べた。「日本からの食品輸入の規制緩和・撤廃という国際的な動きに逆行するもので極めて遺憾だ」とし、即時撤廃を申し入れたことを明らかにした。
このニュースについて!
2023年08月24日(木)。東京電力福島第一原子力発電所に溜るALPS処理水の海洋放出を正式決定した岸田政権。これに対して、中国の税関当局は同日「日本産の水産物の輸入を全面的に停止する」と発表しました。国内の水産業への影響を懸念した日本政府は追加の支援策を講じる方向で検討を開始しました。
2023年08月25日(金)。国連の安全保障理事会の緊急会合で、中国・北朝鮮は揃って処理水の海洋放出について日本の対応を批判する発言を展開、即時中止を求めました。これに対して、日本の石兼公博国連大使は「科学的根拠のない主張は受け入れられない」と繰り返して反論しています。
2023年08月22日(火)。香港政府は処理水の海洋放出を受けて「食の安全と市民の健康を守る」と述べた上で、東京・福島・千葉・茨城・群馬・栃木・宮城・新潟・長野・埼玉の「10都県」の「生鮮品」の他、冷凍品など加工品を対象に「水産物」の輸入を禁止にしました。
また、マカオ政府は同じく10都県の水産物の他、乳製品、野菜、肉などについて輸入を禁止にすることを決定しました。日本経由で航空便で訪れた人の所持品検査の強化も合せて実施します。
更に、フィリピンの漁業者団体「パマラカヤ」は「有毒な放射性廃棄物によって漁業資源が影響を受けるのは間違いない」として「強く反対する」と表明しました。
同団体は声明で「農民や漁業者をはじめとする東アジア諸国の人々は環境への影響に懸念を訴えている」と述べて「日本政府は聞き入れるべきだ」と主張しました。この反対声明はフィリピンの一部メディアでも取り上げられています。
Twitterの反応!
日刊ゲンダイ連載中のコラムです。
— ラサール石井 (@bwkZhVxTlWNLSxd) August 24, 2023
汚染処理水海洋放出は国際的愚行。 pic.twitter.com/56FAljuNsQ
「処理水」は牧野氏の2019年の記事の指摘によると「ALPS不完全処理水」。。こんな状況での放出は、不安しかない
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) August 23, 2023
議論再燃。「処理水海洋放出」は何がまずいのか? 科学的ファクトに基づき論点を整理する
工学博士・牧田寛氏… pic.twitter.com/3JRwU4JVzY
「トリチュウム水というと入っているのはトリチウムだけと勘違いしてしまうんです。#非常に悪質なプロパガンダ です。処理水、トリチウム水何と呼ぼうが #汚染水 です。」#汚染水の海洋放出に反対します #汚染水海洋廃棄に反対します #汚染水を海に流すな #STOP放射性汚染水海洋放出 pic.twitter.com/shzOmSChrL
— 柚子姫@れいわ推し🐾 (@pDyvhzFJAIAJe90) August 23, 2023
どうしても「基準を下回る濃度に薄めた」を入れたいらしくNHKニュースの日本語が崩壊している件↓
— 清水 潔 (@NOSUKE0607) August 24, 2023
「東京電力が基準を下回る濃度に薄めた上で海への放出を始めたことを受けて、中国の税関当局は、日本を原産地とする水産物の輸入を24日から全面的に停止すると発表しました。https://t.co/s578BNnYGY
全世界規模で日本への信頼低下させた意味では長い目で見て損害は計り知れないと思う。放出された汚染水に(いくら少量だ基準値以下だと言い訳しても)セシウムやストロンチウムなど核種のオールスターが存在することが拡散されれば、魚介類に限らず世界規模で日本製品ボイコットもあり得る話。 https://t.co/G8QpJoOxyl
— ono hiroshi (@hiroshimilano) August 24, 2023
管理人後記!
中国政府は「日本産の水産物加工食品の『購入』『使用』『販売』を禁止することを『食品会社の経営者』」に求めました。日本産水産物の輸入を全面的に停止したのに続く対抗措置で、習近平政権は日本への圧力を一段と強めています。
全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長は「全国の漁業者が大変な驚きを持って受け止めている」と述べました。西村康稔経済産業相に禁輸措置の撤回を中国に求めるように申し入れています。
岸田政権は既に処理水の海洋放出に伴う風評対策対策に「総額800億円」の基金を設置しました。今後、中国の輸入停止の影響を分析した上で支援策の取り纏めを行います。特に輸出額の半分以上を占める「ホタテ」に関わる事業者などへの追加の支援策を急ぎます。
ホタテは殻付きの状態で中国に輸出、中国国内で加工をした上で、米国などの第三国に輸出されるケースは多いです。日本政府は中国を経由せず直接第三国に輸出できる仕組みや日本国内の加工設備の整備など販路開拓の支援を検討しています。
農林水産省の統計によれば、2022年の水産物の輸出総額は「3873億円」でした。輸出先の1位は中国、2位は香港、3位は米国です。中国向け輸出額は871億円、香港向け輸出額は755億円、水産物輸出総額に占める中国の比率は22.5%、香港は19.5%、合計で「42.0%」に達します。
中国による水産物の輸出停止措置は、日本の水産物輸出や水産業にとって大打撃になります。これに放置すれば日本経済は大きなダメージを受けることになりかねません。岸田文雄首相は中国政府の方針に対して「即時撤廃」を申し入れたものの解決には相応の時間を要する見通しです。
更に、マーシャル諸島など太平洋の島嶼国は懸念を表明、台湾の頼清徳副総統は「世界を安心させる為に日本政府はもっと情報公開すべき」と述べました。同氏は蔡英文総統の後継者で与党・民進党の候補として来年の台湾総統選挙への出馬を表明している人物です。処理水の海洋放出を巡って国内外で波紋を広げています。




