fc2ブログ

タグ:憲法13条

記事一覧

【物議】性別変更規定を巡る「最高裁判所大法廷」の判決に賛否両論!性同一性障害特例法の「生殖不能要件」は憲法違反!外観要件は差し戻しで結論先送りに!自民党保守派&市民団体は異議!

政治・経済・時事問題
crndnewsdig_2023_11_10
※画像出典:読売新聞オンライン
性同一性障害者の戸籍上の性別を変更する際に必要な性同一性障害特例法の「生殖不能要件」について最高裁判所大法廷は「手術を受けるか性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫るもので制約の程度は重大だ」として違憲無効と判断しました。かつての最高裁判所第2小法廷の判断をたった4年間で覆した異例の判決です。


■性別変更の要件に「生殖能力なくす手術」は違憲で無効、政府は特例法の修正着手へ
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231025-OYT1T50250/
読売新聞オンライン 2023/10/25 22:22


性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するのに、生殖能力をなくす手術を事実上の要件とした性同一性障害特例法の規定が憲法に反するかどうかが争われた家事審判で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は25日、規定を「違憲・無効」とする決定を出した。「手術を受けるか性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫るもので、制約の程度は重大だ」と述べた。政府は特例法や関連法の修正作業に着手する方針だ。

■トランスジェンダー性別変更、生殖不能の手術要件は「違憲」最高裁
https://www.asahi.com/articles/ASRBP7T8YRBNUTIL009.html
朝日新聞デジタル 遠藤隆史 聞き手・塩入彩 聞き手・根岸拓朗 2023年10月25日 15時11分


トランスジェンダーが戸籍上の性別を変えるのに、生殖能力を失わせる手術を必要とする「性同一性障害特例法」の要件が、憲法に違反するかが問われた家事審判で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は25日、要件は「違憲」とする決定を出した。最高裁の裁判官15人の全員一致の判断。最高裁が法令を違憲としたのは12件目。

戸倉三郎裁判長「過酷な二者択一を迫っている」!


2023年10月25日(水)。性同一性障害の人の「戸籍上の性別」を変更する際に「生殖能力」をなくす手術を受けなければならない「性同一性障害特例法」の要件を巡って合憲性を争われた家事審判の特別抗告審、最高裁判所大法廷は「違憲無効」と判断しました。法律の規定を最高裁で憲法違反と判断したのは戦後12例目です。

性同一性障害特例法ではいわゆる「生殖不能の有無」など5つの要件を満たした場合に限って性別の変更を認めていて「手術」を受けることを半ば強制しています。この要件について戸籍上は男性で女性として社会生活を送る当事者は「手術の強制は重大な人権侵害で憲法違反だ」として「手術なしで性別の変更」を認めるように家庭裁判所に申し立てました。

家庭裁判所と高等裁判所は訴えを認めませんでした。今回、最高裁判所大法廷の戸倉三郎裁判長は「手術を受けるか性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫るもので、制約の程度は重大だ」と判断しました。これは裁判官15人全員一致の結論です。

外観要件は差し戻しに!


一方で「変更後の性別に似た性器の外観を備えている」と規定したいわゆる「外観要件」に関しては「審理を尽くしていない」として高等裁判所で審理をやり直すように命じました。差し戻しで結論は先送りになります。手術なしで性別の変更を認めるよう求めた当事者の申し立ては叶いませんでした。

幸福追求権を定めた「憲法13条」への言及は高評価!


今回の判決で注目なのは「自らの意思に反して身体を傷つける『侵襲』を受けない自由は重要な権利だ」とした上で「幸福追求権を定めた『憲法13条』で保障されている」と指摘しました。身体への強度な侵襲である手術を余儀なくさせることはこの自由の制約になるので「必要且つ合理的でない限り許されない」としました。この点は高評価です。

管理人後記!


生殖不能要件を巡っては2019年(平成31年)に最高裁判所第2小法廷で、手術をせずに性別変更前の生殖機能で子どもを産むことは「社会に混乱を生じさせかねない」として「現時点では合憲」と判断しました。その際に「社会の変化などに応じ変わり得る」と述べています。

たった4年間で過去の最高裁判所の判断を覆したのは極めて稀です。今回の判決を受けて、国会では法律の見直しを迫られる可能性は高いです。

改めて「性同一性障害特例法」の性別変更5要件は以下の通りです。

・18歳以上
・未婚
・未成年の「子ども」なし
・生殖不能要件 生殖腺(卵巣や精巣)なし又はその機能を永続的に欠いている
・外観要件 変更する性別の性器に似た外観を備えている


性同一性障害者の人権は尊重されて当然です。基本的人権の享有主体は「個人」です。憲法上の権利はあくまで個人に紐付けられたものです。基本的には今回の判決を支持します。しかし、

・そもそも「性別」とは何なのか?
・性自認の具体的な定義は?
・何を以って「性自認は女性(男性)」を判断するのか?
・何を以って「女性(男性)として生活している」を客観的に判断するのか?


を明確にせずに性別変更に関する議論「だけ」を進めるのは危険です。個人の意思で自由に「性別」を変更できるようになれば「社会秩序」を揺るがすことになりかねません。性別は人間の根幹を成す要素です。

例えば、生殖能力を維持して性別を女性を男性に変更、出産した場合、戸籍上の「男性」「母親」と認めるのか?。例えば、性別変更した元男性による女性トイレや公衆浴場の利用でトラブルに発展する恐れもあります。

2004年(平成16年)に性同一性障害特例法を施行して以降、手術を行って性別を変更した人は計1万2000人に上ります。医師による性同一性障害の診断を厳格にする他、性別変更を認める際の新たな要件を設けるなど検討すべき課題は多いです。法整備の前に慎重な議論をするべきです。

いわゆる「LGBT」の中で「性同一性障害(トランスジェンダー)」は特に難しいテーマです。管理人自身「正解」と思える回答を持っていません。

尚、厳密に言えば性同一性障害とトランスジェンダーはイコールではありません。これについては「JobRainbow」の記事「トランスジェンダーとは?【性同一性障害との違いも詳しく解説(当事者監修/2022年最新版)】」をオススメします。

ブログランキング・にほんブログ村へ

【表現規制】改正プロバイダ責任制限法施行!加害者の「情報開示請求」を簡便に!インターネット上の「誹謗中傷」の抑止力に期待大?規制強化のデメリットは?

表現規制ニュース
constitutionalism_2022_10_10
※画像出典:エキサイトニュース





■改正プロバイダ責任制限法施行 SNS中傷の発信者情報開示を簡便に
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/03/news130.html
ITmedia 2022年10月03日 16時58分 公開


ネット上で誹謗中傷された被害者が、加害者の情報開示請求を簡便に行えるようにする改正プロバイダ責任制限法が10月1日に施行された。開示請求にはこれまで2段階の裁判手続きが必要だったが、1回の手続き(非訟手続)で可能になる。

■ネットでの誹謗中傷投稿者を一発開示、改正法10月施行…被害経験者「手続き早まれば踏み出せる」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220928-OYT1T50158/
読売新聞オンライン 2022/09/28 15:30


インターネットに悪質な投稿をした人の身元の開示手続きを簡略化する「改正プロバイダー責任制限法」が10月1日に施行される。これまでは特定するまでに時間がかかり、迅速化が課題となっていた。かつて 誹謗ひぼう 中傷を受けた人からは、被害の救済や抑止効果を期待する声が上がる。(今泉遼、鈴木貴暁)

加害者の身元の開示手続きを簡略化!


2022年10月01日(土)。インターネットに悪質な投稿をした加害者の身元の開示手続きを簡略化する「改正プロバイダ責任制限法」は同日に施行されました。被害者救済を円滑にする為に「発信者情報開示」について新たな「裁判手続(非訟手続)」を創設しました。現行のプロバイダ責任制限法の課題と改正プロバイダ責任制限法のポイントを解説します。

プロバイダ責任制限法について!


プロバイダ責任制限法の正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限および発信者情報の開示に関する法律」です。これはその名の通りでプロバイダ等の損害賠償責任の制限と発信者情報の開示請求について定めた法律です。

改正プロバイダ責任制限法のポイント!


改正プロバイダ責任制限法の主な変更点は以下の2点です。

  • (1)新たな裁判手続(非訟手続)を創設
  • (2)発信者情報の開示対象の拡大

(1)について、従来の法律では、コンテンツプロバイダに対して「IPアドレス等の開示を求める為の仮処分」の申し立てを行ってIPアドレスや経由プロバイダに関する情報の開示を受けます。次に、経由プロバイダに対して「発信者情報の開示を求める為の訴訟」を行います。

要するに、被害者は発信者情報の開示を求める為に「2段階」の裁判手続きを行わなければなりません。時間と費用の両面で負担は大きく被害者は泣き寝入りを余儀なくされます。

改正プロバイダ責任制限法では、従来の2段階の裁判手続きを行う方法と別に「ひとつの手続きで発信者情報の開示まで完了できる新しい制度」を創設しました。コンテンツプロバイダへの申し立てと経由プロバイダへの申し立てを併合、同一の手続きで審理します。

また、審理中に発信者情報を消去されることを防ぐ為の申し立ても併せて行えます。これによって、スムーズな発信者情報の開示を行って被害者の権利侵害情報を発信した者に対して「法的責任」を追及し易くなります。

(2)について、従来の法律では、開示対象の発信者情報に「ログイン時のIPアドレス等を含むか否か?」は明確ではなく裁判所の判断によっては開示請求を認められないケースもあります。

改正プロバイダ責任制限法では、一定の要件を満たした場合に「ログイン時のIPアドレス等」を開示対象にできます。これによって、近年社会問題化しているSNSを利用した権利侵害投稿に関して「投稿時のIPアドレス等を記録していない場合」でも「ログイン時のIPアドレス等」を開示されることで発信者を容易に特定可能になります。

トラブルは増加傾向!


インターネット上の誹謗中傷などに関する被害相談は増加しています。総務省の「違法・有害情報相談センター」に寄せられた相談は2021年度に「6329件」で10年前の4倍以上です。

内訳で最多は「名誉毀損」で2558件、次点は住所や電話番号などを晒す「プライバシー侵害」で2252件、相談者の内、発信者の特定方法を希望する人の割合は増えて2015年度は4%だったのに対して2021年度は「16%」になっています。

誹謗中傷に関する相談を受け付ける一般社団法人「セーファーインターネット協会(SIA)」では、誹謗中傷に該当すると判断した場合、ウェブサイトやSNS事業者に連絡、削除要請を行っています。同協会は昨年1年間に要請した1414件の内、74%にあたる1046件は削除されています。

被害者救済に一歩前進?


改正プロバイダ責任制限法の「新たな裁判手続き」「プロバイダ側の協力」に委ねられています。プロバイダ側の協力を得られそうなケースや開示要件を満たしているか否かを判断し易いケースでは活用できます。

一方で、プロバイダ側で争う姿勢を見せている場合は「従来の2段階の裁判手続きを行う方法」を選択せざるを得ません。この場合は被害者の負担は変わらず実効的に機能するか否かは未知数です。

しかし、弁護士等を通じて加害者の情報開示請求を受けた場合、発信者情報を特定困難なケースを除けばプロバイダ側に拒否されることは考えられません。被害者救済の意味では大きく前進です。

解説講演「2021年プロバイダ責任制限法改正について」!







改正プロバイダ責任制限法の深刻な副作用!


被害者救済の意味では大きく前進したものの発信者情報は「通信の秘密」で保障された権利です。改正プロバイダ責任制限法は憲法で保障された以下の部分に抵触しかねず副作用は非常に深刻です。

  • 通信の秘密(憲法21条)
  • 表現・言論の自由(同上)
  • 匿名表現の自由(同上)
  • 虚偽表示の自由(同上)
  • プライバシー権(憲法13条)

裁判所で個々の事案に応じて「被害者を救済を優先するべきか?」「発信者の通信の秘密や匿名表現の自由を尊重するべきか?」を判断します。発信者情報の開示を求める新たな裁判手続きは「裁判所の裁量」に大きく左右されます。

更に、今年7月7日(木)には「侮辱罪」を厳罰化する「改正刑法」を施行しました。拘留(30日未満)または科料(1万円未満)だった法定刑を「1年以下の懲役もしくは禁錮」「30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」に引き上げられました。公訴時効は「3年」に延長されます。

背景にあるのは2020年にSNSの誹謗中傷を苦に自殺したプロレスラーの木村花氏(当時22歳)の事件、これを切っ掛けに見直し議論は拡大、一気に規制強化に進みました。一定の理解はできるものの非常に稚拙な法改正です。

改正プロバイダ責任制限法+改正刑法=現行最大レベルの表現規制!


匿名での「正当な批判」に対して訴訟を匂わせることで合法的にそれを封殺できます。法律の性質上「金」「時間」「組織力」のある人は圧倒的に有利で当ブログで再三指摘してきたように「スラップ訴訟」の温床になり得ます。

AV新法を巡ってフリーライターの荒井禎雄氏を恫喝した弁護士の伊藤和子氏、日刊ゲンダイのインタビュー記事を理由に名誉棄損で「れいわ新選組」の大石あきこ氏と発行元の「日刊現代」を提訴した橋下徹氏、浅草キッドの水道橋博士の投稿したツイートについて「法的手続きします」と投稿した日本維新の会の松井一郎氏、同ツイートを「リツイート(RT)した方も同様に対応します」とスラップ訴訟を匂わせたことで話題になりました。

古くは支持者への誹謗中傷を理由にタレントのマツコ・デラックス氏にスラップ訴訟を仕掛けたN国党(当時)の立花孝志氏など既に前例はあります。これらはすべて法改正前の出来事です。

改正プロバイダ責任制限法の附則第3条では、施行後5年を目途に見直し規定を設けています。また、同じく3年ごとの見直し規定を附則で設けている「個人情報保護法」と同様に定期的に改正して必要な措置を講じる見通しです。

改正プロバイダ責任制限法+改正刑法(侮辱罪厳罰化)は表現規制案としてはトップレベルの危険度です。イデオロギーに関係なく相反する側の活動家やタレントに濫用されるリスクは覚悟しなければなりません。今後の運用に要注視です。

ブログランキング・にほんブログ村へ

【画期的】札幌地方裁判所の大英断!同性婚訴訟で初の違憲判断!武部知子裁判長「合理的根拠を欠く差別取扱いに当たると解さざるを得ない」!原告側は控訴の予定?

政治・経済・時事問題
constitutionalism_2021_03_25

同性同士の結婚を認めないのは憲法で保障された「婚姻の自由」などに反するとして北海道の同性カップル3組6人は一昨年国に対して損害賠償を求める訴訟を起しました。札幌地裁はこの内「法の下の平等」を定めた「憲法14条」に違反する事を認定しました。所謂「同性婚訴訟」では初のケースで画期的な判決です。

■【判決要旨全文】「同性婚できないのは憲法違反」札幌地裁が日本初の判断
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6051715cc5b6f2f91a2d567e
ハフポスト日本版編集部 2021年03月17日 13時15分 JST


■同性婚の不受理、初の違憲判断 札幌地裁「差別的扱い」
https://www.asahi.com/articles/ASP3K3F63P3JIIPE02H.html
朝日新聞デジタル 2021年3月17日 12時42分


同性どうしの結婚が認められないのは憲法で保障された「婚姻の自由」や「平等原則」に反するとして、北海道の同性カップル3組6人が国に1人100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁(武部知子裁判長)は17日、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると認定した。原告の請求は棄却した。東京、大阪など全国5地裁で争われている同種訴訟で司法判断が出たのは初めて。

■同性婚否定は「違憲」札幌地裁、初判断 北海道在住3カップル
https://www.sankei.com/affairs/news/210317/afr2103170010-n1.html
産経新聞 2021.3.17 11:34


憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」するとし、結婚に関する民法の規定では「夫婦」という用語が使われている。このため国側は当事者が「男女」であることが前提との法解釈をしている。原告側は「同性と結婚できず、婚姻の自由を不当に侵害している」と主張。同性婚を可能とする立法を怠ったとして計600万円の賠償を求めていた。

損害賠償請求は棄却!


2021年3月17日(水)。同性同士の結婚を認めないのは「婚姻の自由」「幸福追求権」「法の下の平等」を保障した憲法に反するとして北海道の同性カップル3組6人は一昨年国に対して損害賠償を求める訴訟を起しました。

同日の判決で札幌地方裁判所(札幌地裁)は「法の下の平等」を定めた「憲法14条」に違反する事を認定しました。損害賠償請求は棄却されたものの同種の訴訟では初のケースです。

武部知子裁判長は「同性愛は精神疾患ではなく自らの意思に基づいて選択・変更できない事は現在は確立した知見になっている」と指摘しました。また「婚姻によって生じる法的利益は性的指向に関係なく等しく享有しえるものと解される」と述べました。

その上で異性婚と同性カップルとの間で生じている法的保護の格差について検討、同性カップルの婚姻を認めずに不利益を被っている現状は「立法府の裁量を超えた差別的な取り扱いに当る」と判断、法の下の平等を定めた「憲法14条」に照らして違憲と判断しています。

国側は民法上の婚姻制度について「夫婦らが子供を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与える目的がある」と主張しました。しかし、判決は「婚姻は子の有無に係らず夫婦の共同生活自体の保護も重要な目的で同性カップルの保護を否定する理由にならない」と退けています。

憲法24条については国側の見解を支持?


一方で「婚姻は両性の合意のみに基づくとの規定は『両性』など男女を想起させる文言が使われるなど異性婚について定めたものだ」として「婚姻の自由」を定めた「憲法24条」については違反しないと判断しました。この点は国側の見解を概支持しています。

原告は男性同士2組女性同士1組。2019年2月に自治体に提出した婚姻届を受理されず精神的苦痛を受けた事を理由に「違憲判断」を求めて全国の同性カップルと共に一斉提訴しました。札幌の他に「東京」「名古屋」「大阪」「福岡」を含めた計5地裁で計28人で争っています。

原告側は「婚姻の自由はすべての人に権利として保障したもの」と主張、相続などの権利や配偶者控除などの利益を得られないのは法の下の平等(憲法14条)に反すると訴えました。原告の1人は「札幌地裁でこの結果が出たから後は国が動くだけ」「札幌地裁の結果を必ず国が真摯に捉えて検討して欲しい」とコメントしています。

札幌地裁判決のポイントと今後の展開について!


・幸福追求権を定めた憲法13条⇒違憲ではない
・法の下の平等を定めた憲法14条⇒違憲判断
・婚姻の自由を定めた憲法24条⇒違憲ではない

憲法14条違反は認められたものの「憲法13条」及び「憲法24条」については「違憲ではない」と判断されました。少なくとも現行の婚姻制度に同性婚を組み込むのは困難です。これを踏まえて次の段階に進まなければなりません。

■同性婚訴訟、「立法措置促す」と原告側は控訴へ 違憲判決には「画期的判断」と高評価
https://www.bengo4.com/c_18/n_12726/
弁護士ドットコム 2021年03月17日 15時03分


同性同士の結婚が認められないのは、違憲とする初の判決が3月17日、札幌地裁(武部知子裁判長)で出されたことを受け、原告の同性カップルらの弁護団が「画期的判断」と評価する声明を発表した。いっぽうで、国会に速やかな立法措置を促す必要があるとして、控訴の予定も明かした。

(1)憲法改正
(2)憲法解釈変更⇒民法改正
(3)憲法24条と別枠で法整備

今後の展開としてはこの3パターンです。(1)は憲法改正を煽るデマと言い切っていいので要注意です。お試し改憲に利用される危険性を孕んでいる上に「緊急事態条項」などを捻じ込まれる可能性もあります。(2)の憲法解釈変更は正当なやり方ではないので民法改正はハードル高いです。

最も現実的なのは(3)です。判決文によれば憲法24条について「同性婚について定めるものではないと解するのが相当である」と見解を示しました。読む人によって解釈の分れる文言ではあるものの素直に読めば「憲法24条と同性婚は無関係」と解釈できます。

原告側の弁護団は控訴の予定を明かしました。しかし、今回の判決を持ってロビイングに徹底して憲法24条と別枠で「婚姻制度と同じ内容の法整備」に繋げる事こそ同性婚実現の近道と考えます。

衆議院法制局「憲法は同性婚を法制化する事を禁止はしていない」!


尚、同性婚を巡って内閣法制局は原則として否定的な立場を維持しています。一方で、衆議院法制局は立憲民主党の尾辻かな子氏の質問に対して「憲法は同性婚を法制化する事を禁止はしていない」「即ち認めているとの許容説は十分に成り立ちうる」と述べています。

同性婚の実現に向けた気運はこれ以上ない程高まっています。国に損害賠償を求める訴えは棄却されたものの明確に「同性婚」の合憲性を認めたのは画期的な判断です。他の訴訟に影響を及ぼす可能性は高いので札幌地裁の大英断を評価します。

ブログランキング・にほんブログ村へ

    パンくずリスト
  • ホーム
  • »
  • 憲法13条